神社の境内には数々の石碑があり、その多くは何かの建立・奉納を記念したものですが、中には少し趣の異なるものがあります。
神輿殿隣にある献句碑もその一つです。
表の俳句部分は崩し字で書かれているため恥ずかしながら私も長らく読むことが出来ませんでしたが、先日筆の先生にお願いして読んでいただく事が出来ました。
一部判読に迷う文字もあったとの事ですが、下に掲載いたします。ご興味のある方はご参拝の際に探してみて下さい。
《表面》
献句碑
登り得て 歓喜を嶺に 抱合えり 梅鳥子
何時までも つづけ平和の 盆おどり 東山
流れては また太陽に すがる蝌蚪 理春 ※蝌蚪(かと)=おたまじゃくし
せのびして 猫 陽炎の 庭去りぬ 残月
春光の 砂に座りて 砂掴む 梅里
蝉しぐれ 船形もりの 樫ふるく 月洞
籠の虫 愷しむあきふかし 子の眠る 松月 ※愷(たのしむ)は不確定
心ふと 菊の中なる もんに触た 魚九童
《裏面》
序
郷土の発展に随い田圃に啼く蛙は疎となり夏の夕べ蛍も消え失せ鈴虫の声さえ聞かれなく
山河の風景又詩情乏しくなり祭典の行事にも窺はる変遷は昔慕の感に堪ない私達
同志は新時代を担う俳好若人の進出を冀うため拙筆一句づつを献じ敬虔のしるしとする
昭和四十年十月二十四日
座間町座間入谷長宿 斉藤正良 六九才 雅号 梅鳥子
座間町座間入谷長宿 増島信義 六八才 同 残月
座間町座間入谷皆原 大口計三 六八才 同 魚九童
座間町座間入谷星の谷 井上祐二 六二才 同 梅里
座間町座間入谷星の谷 入部金治 六〇才 同 東山
座間町座間入谷長宿 飯島忠雄 五三才 同 月洞
座間町座間入谷長宿 金子理春 五二才 同 理春
座間町座間入谷長宿 荒井正重 五二才 同 松月