幾度かに分けて神社の建物について書いてきましたが、次はいよいよ本殿についてです。

本殿については長くなりますので今回は外観についてのお話しになります。

本日撮影した本殿

本殿は正殿(せいでん)とも云い、御祭神のお鎮まりになる建物の事です。

神社で最も神聖な場所で、例祭を始め各種祭典が執り行われる所でもあります。御祈祷などでたびたび人の出入りする建物ですが、言わば神様の家に当たる場所ですから言葉や立ち振る舞いには気をつけなければなりません。

竣工間もない頃の本殿。屋根や木材の色は今昔どちらもその良さがあります

当神社の本殿は“平成の大造営”として平成4年5月に竣功したものです。

令和2年8月には石畳参道と太鼓橋が完成したことで更に参拝しやすくなりました。

建築様式は『権現造り』ですが石の間にあたる部分が低くないので『入母屋造り』の方が正確かもしれません。

今は新緑が雲のように屋根にかかっています

神社建築の趣の主たるものは屋根であると言われます。

当神社の本殿は正面から見ると手前部分しか見えませんが、横から見ると本殿・幣殿・拝殿に当たる部分を屋根で繋いだ構造であることが分かります。木々で覆われて見難いのですが、本殿には神社特有の千木・鰹木が載っています。

屋根の下側を支える垂木(たるき)も風格の一部です

ごく大雑把に言って奈良時代以前の建築様式は屋根が直線的で、それ以降の様式では屋根に反りがあるものが多くなります。

この反りの深さや屋根の角度、建物と屋根のバランスなどで“優美”“軽やか”であるとか“重厚”“荘厳”であるなどと形容します。

この鈴鹿明神社の屋根は浅い反りに唐破風・千鳥破風を重ねたもの。皆様にはどのように見えるでしょうか?